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「ITで農業に働き方改革を広める会議」開催

最終更新: 2019年2月22日

さる2月17日(日)、 農林水産省、全国青年農業者クラブ連絡協議会、できる.agri実行委員会主催による、「ITで農業に働き方改革を広める会議」が開催された。また、同イベントには、サイボウズ株式会社、freee株式会社も協力企業として参加していた。


昨今、自動運転トラクターなど「スマート農業」が注目されているが、農業には、生産活動のほかにも、販売管理、会計管理、労務管理などの業務があり、多くの農家は、これらの対応に多くの時間を費やしている。これら「手間」を省くことで、もっと気軽に「働き方改革」ができるはずである。


そこで、ITを活かして、もっと気軽に農業の「働き方改革」ができる方法はないか?といったテーマで、農家、ITエンジニアや農業に関心のあるサポーターが集まり、一緒に知恵を出し合う場として、本イベントが開催された。


イベント前半では、4名の農業生産者により農業経営でのITを活用した「働き方改革」の実践例が紹介され、後半では、「サイボウズ式問題解決メソッドを活用したグループワークが行われた。


宮本泰邦氏

講演で、まず最初に登壇したのは、柑橘類において国内初のGLOBAL GAP認証を取得した農業生産法人 株式会社ミヤモトオレンジガーデン 代表取締役 宮本泰邦氏である。


GAP(Good Agricultural Practices)とは、「食品安全」「労働安全」「環境保全・労働福祉」を確実に行うことで、品質の担保だけでなく、持続可能な農業経営に繋がるという考えの取り組み。


しかし、実際に国内の専業農家においてGAPを取得している農家は1%ほどしかいないという現状であり、その要因として、難しい、手間がかかる、お金がかかるという問題が挙げられると同氏。ミヤモトオレンジガーデンでは、この“手間がかかる”という部分をGAP認証取得システム「MOG-GAPシステム」の開発により、省力化している。


「MOG-GAPシステム」は、ITと農家の集合知を活用し、コンサルタント機能をもったGAP認証取得支援システムである。

主な機能として、作業記録や農薬、肥料の使用記録、帳票の整備、マニュアル整備、データ蓄積機能などがある。


同氏は、この「MOG-GAPシステム」を使いはじめたことで、これまで見えなかったものが見える化でき、さまざまなリスクを低減することができていると述べた。


杉原晋一氏

次に、自然環境型農法で安全と美味しさを追求している米農家、農業生産法人 株式会社山燕庵 代表取締役 杉原晋一氏が登壇し、同社でのIT活用事例を紹介した。


山燕庵では、米の栽培・販売だけでなく、無農薬玄米と米糀(こうじ)のみで作ったノンアルコールの玄米甘酒「玄米がユメヲミタ」や中身にぬか・塩・米・ハーブ類を入れたカイロ「ぬくぬくのぬか」など米を活用した加工品を開発し販売をしている。


山燕庵では、これら加工品の開発、販売のために、農業におけるITの普及・活用促進に取り組む「できる.agri」とパートナーを組みさまざまな取り組みを行っていると述べた。


今回、山燕庵とできる.agriで取り組んだのが、「ヌカモフ」という「ぬくぬくのぬか」をリニューアルさせた商品開発である。この商品を開発するにあたっての資金調達にはクラウドファンディングを活用した。

杉原氏は、今回のクラウドファンディングを活用した取り組みについて、「クラウドファンディングで多くの方が応援してくれたことに驚いている。また同時に、ITによりさまざまな人とつながり、そのつながりから次の新しい取り組みにつながっていく、ITの力のすごさを痛感しました」と述べた。


大澤幸恵さん

続いて、「まず やってみる—直帰率0〜100%のIT利用—」と題して、梨農家の大澤農園 大澤幸恵さんが登壇し、気軽に始めるIT技術として、就農してから9年間で行ったITを活用した取り組みを紹介した。


現在、大澤農園では、100%直売での販売を実現しているが、個人農家である大澤農園が直売(小売り)という方法を選択した理由には、共同選果・市場出荷の価格の不安定さがあったという。


直売であれば自身で価格を設定ができるため、収入の安定を図ることができるが、販売や販路の拡大は自分自身で行わなければならない。そのため、大澤農園では、これらの部分にSNSやネットショップなどのITを活用している。


何度かメディアに取り上げられたり、直売の顧客が増えてきたことにより、大澤農園では2011年には全量直売を達成した。しかし、それにより事務作業量が増え作業が煩雑化してしまった。そこで、タスク管理サービス「Trello」というアプリを用いて、作業を整理・見える化し、業務の改善につなげている。また、2018年より会計feeeを導入したことにより、これまで紙で行っていた経理作業の省力化を図っている。また、品質を担保するため、非破壊糖度計も導入したとのこと。


最後に、大澤さんは、世の中にはさまざまなITツールがあので、失敗を恐れず「まず やってみる」ということが大事だと述べた。


林 大地氏

最後の講演は、株式会社Tedy 林 大地氏によよって行われた。同社は、国産では数少ないパプリカを栽培している農家である。


林氏は、同社のIT活用事例として、「環境制御」「情報共有」「情報発信」「バックオフィス」の4つの項目について紹介した。


まず「環境制御」においては、オランダPriva社の環境制御システムを導入し室内温度・湿度やCO2、水分率などのハウス内環境を取得しており、「情報共有」では「Dropbox」を活用しPC内のデータ整理やバックアップまた、従業員間での共有を行っていると述べた。Dropboxを用いることで、資料の紛失がなくなり、会社全体の情報管理が容易になったとのこと。


「情報発信」では、「Team Viewer」を活用している。Team Viewerとは、遠隔操作でパソコンが操作できるアプリケーションである。このTeam Viewerを用いることで、環境制御のシステムを外出先でも確認し、突発的な問題みの対応している。


「情報発信」では「Facebook」を使用しており、直売所やイベントの告知などの販促活動のツールとして活用している。Facebookで情報の拡散を行ったことで、従来に比べ来客数が増加したとのことである。


「バックオフィス」の部分では、「RecoRU」という勤怠管理システムを導入し、入力作業にかかる時間やチェックに要する時間の省力化を図っている。


最後に今後IT化したいこととして、労務管理や人事評価をIT化し、作業効率の可視化や作業の標準化を図っていきたいと述べた。

講演の様子

ワークショップの様子

後半のワークグループでは、サイボウズ株式会社 中村龍太氏が中心となり、サイボウズ式問題解決メソッドにより「現場の“困った”の解決方法をみんなで学ぶ」というグループワークが行われた。


このワークグループでは、来場者が数組に分かれ、それぞれの農家がもっている問題の提起から解決までのプロセスを話し合い、さまざまな白熱した議論が交わされた。



#スマート農業 #農業IT #働き方改革 #GAP