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  • スマート農業360

【レポート】農林水産省、シンポジウム「農業における先端技術活用の加速化を目指して」

農林水産省は、さる3月8日(金)「農業における先端技術活用の加速化を目指して」と題して、シンポジウムを開催した。


農林水産業の強化を図るためには、今やICTやAI、ロボット等の先端技術は欠かせない存在となっている。本シンポジウムでは、農業における先端技術活用の有効性や課題を多面的に捉え、その加速化に向けたこれからの展望について論議を深める場として開催された。


【第1部 講演:異なる視点で捉える先端技術活用の現状と展望】


1)「先端技術メーカーの視点で/先端技術の活用で強い農業を実現する」

株式会社オプティム 横山惠一 氏

オプティムでは、2017年より生産者を中心とした「スマート農業アライアンス」の取り組みを進めている。スマート農業アライアンスでの取り組みの一環として行っているのが、ドローンによるピンポイント農薬散布。AIによる画像解析で病害虫が発生している場所を特定し、その部分にのみ農薬を散布する減農薬栽培である。また、この農薬使用量を抑えて栽培した安心、安全なお米を「スマート米」および「スマート玄米」として販売を開始している。


その他、同社では、農業向けAI・IoT・Robotプラットフォーム「AGRI EARTH」やドローンパイロットシェアリングサービス「DRONE CONNECT」など、農業を取り巻くさまざまな取り組みを紹介した。

2)「先端技術利用者の立場から/先端技術の効用と課題」

農業生産法人 株式会社ヤマザキライス 山﨑能央 氏

ヤマザキライスは、埼玉県中央部に位置する杉戸町で水稲栽培を行っている農家。ヤマザキライスでは現在4つの問題を抱えているという。"人材不足”、"350枚の圃場”、"圃場の分散により非効率”、"想定外の異常気象” 、である。これらを解決できるのが農業のスマート化だと語る。スマート化することにより、品質向上と大きなコスト削減が期待できるためだ。


しかし、スマート化導入においての課題として、コストが高い、プラットフォームが統一されていないなどがある。そこで、山﨑氏自ら低コストな水田センサを開発した。このセンサでは水位、気温、照度、湿度などが取得できる。この取得したデータはタブレットなどに送られ、誰でも水田の状態をリアルタイムで確認することができる。


また、スマート化と並行しながら、現時点で最も利益率を上げられる2つのポイントとして、"農地の集約と大規模化・基盤整備”"ローテクでの技術の見直し”を挙げた。

3)「オランダ農業に照らして/オランダの生産者が先端技術を導入する理由」

maru communicate 紀平真理子 氏

世界的に見ても農業先進国であるオランダの生産者が先端技術を導入する理由は、日本と同じ収量アップや時間作削減。しかし、日本と異なる点は、オランダの生産者はイノベーションに投資するとういマインドをもっている点にあるという。


オランダでは、農家の約8割がコントラクターに委託しており、また、農機などは多くは共同利用にて使用しているとのこと。この背景には、ヨーロッパでは中古市場が充実しているためではないかと述べた。

またオランダでは25kg以上を労働者の運ばせてはいけないという規制があるため、その部分にも機器が導入されている、オランダ政府の取り組みや生産者の農業に対する考えなどをさまざまな事例を挙げて紹介した。

4)「農業コンサルタントとして/コンサルティングで農業を強くする」

株式会社Delphy Japan 麻生英文 氏

Delphy Japanは、世界各国での栽培コンサルタントの実績があるDelphyと日本の施設園芸をリードしてきた誠和、両社のノウハウを中心に栽培のコンサルタントをしている会社である。


なぜ農業にコンサルタントが必要なのかという例にオランダを挙げて説明した。

現在、オランダでは、すべての生産者がコンサルタントや教育に代金を支払っており、それによって生産者とコンサルタントとの間で切磋琢磨が生まれ、生産物の品質向上という好循環を生み出しているとのこと。


現在、世界的に農家の件数がへり農業の高齢化が進んできている。そこで、農業機器を活用するといった生産者のスキルが問われるといった農業に変化しつつある。日本においても、自給率40%、高齢化、次世代の生産者不足などさまざまな問題があるが、これらを解決するカギは道具、機器への投資、そして最も大事なのが次世代農業経営者の教育だと述べた。

【第2部 補助事業発表:高度先端型技術の実装促進取組状況】


1)「スマート農業時代における経営分析クラウドの実証活動と展開」

テラスマイル株式会社 生駒祐一 氏

テラスマイルは宮崎県に本社を置き、農業経営分析「RightARM」というクラウドサービスを提供している。RightARMの特徴は「業績評価」「出荷予測」「マルチセンシング」の3つ。


本講演では、製品の販売や利活用の指導に取組む際の課題や問題点として、生産現場においてデータ利活用とRightARM活用の理解が不足していると述べ、それらを解決するため、宮崎県やJAとの定期的な情報交換会を実施し、利活用の事例を共有しているとのこと。


また、次年度では、宮崎以外にも九州沖縄地方、中四国地方にも拡大してきたいとし、また、得意分野である施設園芸に重きを置きつつ、野菜数品目の経営分析を行い、スマート農業時代の経営指針を普及させていきたいと、今後の取り組みへの抱負を語った。

2)「スマート農業時代における養豚経営支援シテムの実証活動と展開」

株式会社Eco-Pork 神林 隆 氏

Eco-Pork は、先端技術を畜産に活用し、農家の食料生産性の向上と透明性の高い安心な食糧供給を支援している企業。


講演では、高度先端技術の実装促進取組状況として、2018年度は養豚農家へのICT/IoTソリューションの実装が進み、飼養頭数ベースで4% 強(約40万頭)に普及し、高度先端技術の実装・活用は黎明期から普及期に移行しようとしていると述べた。


また、 養豚開業獣医師などの養豚農場指導者においても高度先端技術の認知が高まって おり、今後は農場指導者による普及・活用も期待される状況となっているとのこと。


今後の展開として、取得した大量データを自社にてAIに活用するだけでなく、高度先端技術をもつさまざまな企業との共創していくことで、ICT/IoT/AI・ロボットなどの各種先端技術が連動し生産から出荷まで一貫して農家のサポート・課題解決を行う「高度先端技術エコシステム」の構築を目指すと語った。

【第3部 総合討論:農業における先端技術の活用を加速するための課題と方向性】

第3部 総合討論では、ファシリテーターをNKアグリ株式会社の三原洋一氏が務め、各講演を行った演者により、農業界の現状や農業現場での課題について討論が交わされた。


その中で、データを可視化しそれを活用することの重要性、また、生産段階だけでなく流通の部分においても可視化していくことが大事だとの意見が述べられた。


また、現在急速に農業のスマート化が進んでいるが、今後農業がどのように変わっていくのかを楽しみにしている。しかし、このスマート化への流れが一過性のものではなく、5年後もスマート農業に参入してくる企業が増えているという状態であって欲しいと、今後のスマート農業への思いが語られる討論会となった。

#スマート農業 #シンポジウム #農林水産省