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コンピュータのための知恵袋、農作物語彙体系を構築

農研機構と国立情報学研究所が参加するコンソーシアム内の研究チームは、システム間の横断的なデータ連携を促進するため、コンピュータが参照できる農作物語彙体系を構築した。


農作物名称サーチ

農業におけるSociety5.0の実現に向け、生産から消費に至るデータを横断利用した、スマート・フードチェーンシステムの構築が求められている。しかし、現状ではデータはシステムごとに個別に管理されるために、同じデータも名称が違うなど不整合があり、データの共用が進まず、貴重なビッグデータである営農情報が有効活用できていない。


今回、農作物語彙体系に基づき開発したサービスは、食用農作物の農薬基準情報、外国語表記、遺伝情報の収集支援や、政府が優先的に使用すべきとした標準農作物名の普及に貢献する。

また、今後は農作物語彙体系が農業データ連携基盤(WAGRI)上のデータ連携へ寄与することを目指す。


■農作物名称サーチ >>


【社会的背景】

農作物の安全性確保や高品質化のためには、農作物に関するデータが生産から消費に至るフードチェーン全体で共有されると同時に、そのデータを統合的に解析できる環境が求められている。農作物は、植物(例:ダイズ)、作物(例:エダマメ)、商品(例:枝付きエダマメ)のようにフードチェーンの段階によって、データを表す名称(以下、データ名)が異なることがある。また、ひとつのフードチェーンの段階でも、農作物データを管理する組織によってデータの名称が異なることもる(例:エンドウ、エンドウマメ)。


さらに、グローバルな農作物流通の場合は、農作物データが日本語以外の言語で管理さる。このように、データがさまざまな農作物名で管理されていると、コンピュータが農作物の履歴をデータ名でたどることは容易ではない。


農作物データの連携には、情報の基準として農作物の名称を定義する語彙体系(例:エンドウ、エンドウマメを同じ意味と定義)を構築して、それをコンピュータから利用できるようにする必要がある。


【開発の経緯】

これまで、農作物名を整理した冊子体は発行されていたものの、複数のコンピュータから利用することは考慮されていなかった。また、栽培時の「農薬使用基準」と、人が摂取しても安全と評価された「残留農薬基準」は相互に関連しているにもかかわらず、データ名が統一されていないため、2種類の農薬基準データの連携は困難だった。


そこで、コンピュータ処理が可能な「農作物語彙体系(Crop Vocabulary、CVO)」を、2種類の農薬基準データの連携を主目的に、対象を生産者から卸売り業者までのフードチェーンの上流として共同で構築することとなった。


【農作物語彙体系の特徴】

農作物語彙体系は2種類の農薬基準データに含まれる1,249の農作物を、作物名(以下、CVO農作物名)、別名、英名、学名等で表したもので、コンピュータから扱うことが可能である。農作物語彙体系は、「ITシステムで用いる農作物の名称に関する個別ガイドライン(内閣官房)」で優先使用が推奨された農作物名(以下、ガイドライン農作物名)、2種類の農薬基準のデータ名、国際的農業標準語彙であるAGROVOC(国際連合食糧農業機関)、および生物分類データベースNCBI Taxonomy等と連携している。


【農作物語彙体系に基づく開発サービスの特徴】

■農作物名称サーチ

開発した農作物名称サーチは、農作物語彙体系を農作物名(図1:きゅうり)とその同義語(キュウリ)で部分一致検索し、該当するCVO農作物名、「農薬使用基準」、「残留農薬基準」情報等を表示するものである。

図1 農作物名称サーチにおけるキーワード“きゅうり”の検索

農作物名称サーチを利用することで、農作物によっては、1.農薬基準のデータ名が収穫部位(図2:キュウリ(葉))、生育ステージ(例:未成熟スイカ)、用途(例:食用ギク)で異なること、2.「農薬使用基準」と「残留農薬基準」のデータ名が異なること(図1:きゅうり(葉)、きゅうりの葉・花)が確認でき、3.連携するCVO農薬使用基準ページにより「農薬使用基準」データ名の意味を明確にできる(図3)。収穫部位等で農薬基準が複数設定された農作物や2種類の農薬基準のデータ名が異なる農作物を簡単に確認できるため、農薬基準情報の正確かつ効率的収集の一助となる。

図2 農作物名称サーチによる“キュウリ”の農薬使用基準の設定確認

図3 CVO農薬使用基準ページにおける“トマト”の定義の確認

■農作物語彙体系にリンクする外部語彙ページの参照

農作物語彙体系にリンクする外部のAGROVOC学名ページから、生産物ページに移動することでCVO農作物の多言語表記が確認できるため(図4)、グローバルな農産物流通に活用できる。また、リンクするNCBI TaxonomyページからCVO農作物の遺伝的情報が確認できるため(図5)、たとえば作物の収量や品質に及ぼす環境の影響を遺伝的要因から解析する際に活用できる。

図4 農作物語彙体系と連携するAGROVOCページ

図5 農作物語彙体系と連携するNCBI Taxonomyページ

#フードチェーン #WAGRI #Society5 #農研機構

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