• スマート農業360

GAPを通じて新しい価値を創造する ミヤモトオレンジガーデンの取り組み


※本インタビューは、『スマート農業360〔2019年冬号〕』に掲載した記事をWeb用に編集を加え転載したものです。


【ミヤモトオレンジガーデンについて】

■ミヤモトオレンジガーデン設立の経緯を教えてください。


私はみかん農家の長男として生まれましたが、収入の不安定さや将来に対する不安などから、大学卒業後は一般企業に就職し15年間会社員をしていました。2013年に家庭の事情で、みかん農家を継ぐことになりました。とはいえ、会社員として営業や経営管理をしていたサラリーマン時代から「農業を事業として取り組みたい」という気持ちをもっていました。そこで実家に戻ったときに県の農業大学校に半年ほど通いながら、農業の準備とインターネットでの販売を開始し、2014年にミヤモトオレンジガーデンを設立したのです。


■一般企業の会社員からみかん農家を継がれ、どのような苦労がありましたか?


最初は何もかも手探り状態でした。農業大学校では農業の考え方をはじめ、ひと通りの作業手順や技術などを教えていただきました。これらは実際にやりながら慣れようと思いましたが、やはり簡単に身につくものではありません。まずは相談できる人を確保することが重要だと思いました。現在は、栽培担当責任者が中心となり、栽培の相談は県の技術員や地元の農家の方などに教えていただくようにしています。



【農業生産法人としての農業経営】

■御社では、GLOBAL GAP認証を取得するなど、先進的な取り組みを行っていますが、農業経営にどのようなこだわりをもっていますか?


この辺はみかん産地で、川上共選(選果部会)という農協があり、日本有数のみかんのブランド産地です。父も生産した物はすべてこの農協に出荷して、農協から東京の市場に出荷していました。しかし私の場合は、農協を通すことなく直接お客様に販売しています。これは、どちらが良い悪いではありません。私たちは、自分達が作った美味しく高品位なみかんを、お客様に直接お届けして食べていただきたいという思いから、生産から加工、販売までをワンストップサービスで行っています。

畑からの景色

■生産から販売までを行っていると、経理や会計など大変ではないですか?


そうですね。以前は、一般的な農業会計ソフトを使い栽培記録なども行っていました。このソフトはPCにインストールするタイプのソフトウェアでしたので、外出先から記録を見ることもできず、また事業ごとの会計も見えなかったのです。そのため、ほかに使い勝手の良いものがないか探していたところ、「クラウド会計ソフトfreee」を知り、使い始めました。クラウド型というのはとても便利です。それまでは、月途中に経理担当のPCからUSBメモリでデータを抜き、自分のPCに移動させるという手間のかかるやり方をしていましたが、それがクラウド型になったことでこの手間がなくなりました。


クラウド型ですので、たとえば営業先でネットさえ繋がればその場でデータを見ることができ、それを見ながら経理担当者とやり取りを行うことができます。またこのソフトは、銀行口座と繋がっているところも大きいですね。銀行明細やクレジットカード明細を自動的に取得し、会計簿を作成できます。


また、部門別の会計管理ができるため、「商品別」「取引先別」でレポートが閲覧でき、経営状態を見える化できるので、迅速に次の経営戦略を立てることができます。



【GLOBAL GAP認証取得への取り組み】


■御社では、みかん・柑橘類において国内初のGLOBAL GAP認証を取得されましたが、その経緯を教えてください。


先ほどの繰り返しになりますが、家業を継ぐ以前の会社員時代から農業を事業としてやりたいと思っていました。そして、そのための形をどうするかについて考えたとき、農業法人経営としての仕組みやルールを整備するためにはGAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)が適していると考え、認証取得に踏み切りました。


規模拡大や生産量増大ということについて考えると、GAP認証の取得は必要だと思ったのです。また、当時、柑橘類でGLOBAL GAPはどこも取得していないことから一番を目指そうという下心も少しありました(笑)。


GAPの取得については、2014年に会社を設立して、同年11月にGLOBAL GAPの審査を受け、2015年1月に認証されました。


■3ヵ月でGLOBAL GAP認証を取得されたのですか!?


そうですね。GLOBAL GAP認証取得以前に、JGAP指導員という資格があり、まずはそれを取得しました。当時JGAPから、GLOBAL GAPの審査に通るためにはどのような項目が必要だということが参考として記載されていました。私はそれだけをやっていれば通るかと思い、実際の審査当日になってみると、どうも違うみたいで(笑)。


そもそも私自身GLOBAL GAPの考え方自体、全くわかってなかったのです。実際の審査では約30近くの指摘があり、ひょっとしたら再審査か、あるいは取得できないかもしれないと言われました。しかし、なんとか無事に取得することができました。


■GAPの取得は大変だとよく聞くのですが、御社ではどのような取り組みをされていますか?


以前は、私がExcelで帳票のフォーマットを作って、栽培担当者が帳票に記載、それを私が確認、捺印し、キングファイルという分厚い紙のファイルで保管していました。このファイルは当初4冊もありました。この作業は、実際に手間も時間も膨大で、審査更新のために書類を準備するような感じでした。そのため、もっと簡単に管理できるものはないかなと思い探していたところ、ビジネスアプリ作成クラウドの「kintone」を知りました。現在ではこのソフトを用いて「MOG-GAPシステム」というシステムを構築し、このシステムで運営管理をしています。


ある農業大学の先生は、「GAPの仕組みやルールを取り入れている農家に生徒を就職させたい」と話されていました。GAP自体は「業務の見える化」「標準化」「マニュアル化」するものですので、作る側も勉強になると同時に農業経営を強化できます。農業を行ううえでの仕組みや組織の社員教育にGAPは適しています。


元々は自社のためにこのシステムを開発しましたが、GAP取得には非常に手間が掛かり、費用が掛かることが問題で他の生産者が興味があるのに取り組めていないことを知り、他の方にも使ってもらえればと思い「MOG-GAP システム」を一般に公開しました。現在は地元の農業高校や農業大学校などに活用いただいています。


■「MOG-GAPシステム」について詳しく教えてください。


「MOG-GAPシステム」は、ICTと農家の集合知を活用し、コンサルタント機能をもった“GAP認証取得支援システム”です。


私どもは、外部コンサルタントにサポートを受けることなくGAPを取得したのですが、一般的にはGAPを取得するためには外部コンサルタントのサポートが必要だと言われています。しかし、実際にコンサルタントに依頼するとかなり高額な料金が発生します。そもそもGAPとは、農業においての食品安全、環境保全、労働安全などを確保するという考え方で、それを行うために補助金や高額のコンサルタント料といった費用がかかるのはおかしいのではないかと思い、利用者同士がお互いの知見を共有し合うことで、コンサルタントに頼ることなくGAP取得を目指せる仕組みを創りました。


「MOG-GAPシステム」でできることはホームページを見ていただければわかりますが、“作業記録・農薬や肥料の使用記録の蓄積” “GAP項目に対応した帳票の整備” “ペーパーレスでデータを蓄積・集計”などです。「MOG-GAPシステム」は、システム利用開始から最短3ヵ月で認証取得を目指して開発しました。農家目線の、現場の使いやすさにこだわった作りとなっています。また、ITを活用することでペーパーレス化が図れ、圧倒的なコストカットを実現しています。



【今後の展望について】

「MOG-GAPシステム」を一緒に使い、GLOBAL GAPに取り組んでいく生産者や教育機関と連携を強化していきたいです。GAPへの取り組みを通じて、農業におけるリスクを低減し、販路を広げたり、農業経営強化につながればと思っています。日本の農業界や地域のためにも、GAPの考え方を広く伝えていきたいと考えています。


また、システムの今後については、使いやすさを改善していきたいと考えています。特にスマホでの入力をしやすくすることや、システムに記録している時間や作業内容を会計に繋げることができればいいなと考えています。


―ありがとうございました。

農業生産法人 株式会社オレンジガーデン

〒796 ー8050

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TEL:089-989-3605

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